公園の数ある遊具のなかでも、特に子どもたちに人気なのがブランコです。ところが、公園のブランコの台数はあまり多くないため、交代の順番でもめるような場面が見られます。そんなときに子どもたちは、問題を解決するために順番待ちのルールを考え始めます。この行動には、子どもたちの成長や社会性を育む効果があるといわれています。今回は、ブランコの順番ルールと子どもの社会適応力の発達について考えていきます。
ブランコ遊びの順番ルールから学ぶ社会性
ブランコには、乗る・揺らす・漕ぐといった段階的な遊びの要素があります。幼児から小学生まで、幅広い年齢の子どもたちに人気があり、ときには順番待ちをする姿が見られるほどです。
しかし、なかなか交代してくれない子や、順番をきちんと守らない子がいると、思うように遊ぶことができません。そういったときに子どもたちは、みんなが楽しく遊べるように独自のルールを考え始めます。そして子どもたちは、実にさまざまな能力を養うようになるのです。
コミュニケーション能力
ブランコの順番待ちをしている子どもたちのなかには、顔見知りの子もいれば、初めて会う子もいることでしょう。その場で出会った遊び仲間と協力してルールを作るには、うまくコミュニケーションを取らなければなりません。その過程で、知らない子とコミュニケーションを取る努力をする、目的に向かって集団で行動する、仲間として協力するといった能力の発達が期待できます。
創意工夫する力
順番待ちの列がブランコに近づきすぎて危ないときには「この線より後ろに並ぶ」、順番待ちの時間が長すぎるときには「10まで数えたら交代する」といった具合に、子どもたちは遊びながらルールを改善していきます。状況に応じて、子どもなりに創意工夫をするようになるのです。親が強制するのではなく、同じような年ごろの子と協力しながら考えていくことで、自立心も育っていきます。
自己を抑制する力
順番ルールを守ることで、「早く乗りたい」「先に遊びたい」という気持ちをコントロールする自己抑制力が育まれます。やがて、小さな子に先に譲ってあげるといった場面が見られることもあるでしょう。自分本位にならず、人を思いやることは人格形成の土台となる大切な要素で、子どものころから身につけたい考え方です。
親は見守りに徹して、子どもの自立心を育てよう
ブランコの順番待ちをしている子どもたちがもめていると、親としてはつい口出ししたくなるものです。でも、そこは見守りに徹することが大切。親が介入するのは簡単ですが、子どもの社会性を育むためには、子どもたち自身が協調して楽しく遊べるような工夫することが重要です。
ブランコ遊びは子どもの運動能力を養うだけでなく、社会性を育む効果も期待できます。親は安全の確保に徹して、あとはできるだけ子どもたちに任せましょう。子どもが社会適応力を身につけることができれば、学校生活や友達との遊びがより楽しいものになるはずです。